2012/12/18

Preparation for Christmas


 Christmas Door Swag



One of the Christmas preparations for Jade Bookbinding Studio is printing Christmas Cards with an ADANA at Studio 2 in Barnes. The ADANA is a charming little printing machine for letter set printing and I like it very much.
This Christmas custom started at 1996 when I bought the ADANA and some printing types from a small printing company. In the beginning I used 4 types of Father Christmas blocks.
In 2005, I had the opportunity to use a selection of Victorian Illustration printing blocks. Since then, I enjoy printing with various beautiful printing blocks.



12月に入ると、全てのことがクリスマスに向かって走っている感じがします。
このスタジオでのクリスマスの準備は、カード印刷から始まります。BarnesStudio2という所に私の所有するアダナという印刷機械が置いてあり、毎年そこでクリスマスカードを印刷しています。時間のある時はカードの中の文字部分も活字を組んで印刷しますが、今年は忙しくカードの表の印刷のみにとどまりました。

 クリスマスカードの制作は、私がイギリスに移り住むようになった1996年からずっと(途中、活版印刷でなかった時期もありましたが)続いています。アダナ印刷機は、卓上の活版印刷機で日本でもよく知られており、ファンも多いのではないかと思います。詳しくは朗文堂のこのサイト http://www.robundo.com/ をご覧いただくとお解りいただけると思いますが、下の写真のような形のもので、印刷をする時は中央の黒い部分に凸版をはめ、ローラを取り付けて刷ります。



ADANA (without rollers)


1996年にある印刷会社から中古のアダナと活字をまとめて購入したのですが、その活字の中にサンタクロースの絵の凸版が4つあり、それを使ってクリスマスカードを作ったのが始まりです。

Cards printed with Father Christmas blocks and Types

A card printed with Father Christmas blocks


図柄を組み合わせたり、文字と組み合わせたりしていましたが、使い回しもそろそろ限界という頃、友人からヴィクトリア時代の挿絵用の版を譲り受けました。

Victorian printing blocks


最初はクリスマスに関係する絵柄を選んで印刷していましたが、それ以外にもなかなか趣のある図柄があり、近年はクリスマスらしさに関係なく気に入った凸版を使って印刷しています。

Cards printed with Victorian printing blocks and Types

Cards printed with Victorian printing blocks


今年のカードは、この図柄で中央に配置したものと、右寄りにしたものと2パターンで印刷しました。

 Christmas Cards  2012



もう一つの準備は室内とドアのクリスマス用の飾りです。隣町 Putneyのフラワーアレンジメントの先生のお宅で、毎年、特別ワークショップが開設されます。今年はドアスワッグとクリスマスのフレッシュアレンジメントに参加してきました。

Christmas Fresh Flower Arrangement



2012/10/27

Commission





“The Illustrations of William Blake for Thornton’s Virgil”




Recent Design bindings for a U.K. book collector.
The center book of above photograph is “The Illustrations of William Blake for Thornton’s Virgil”, published by The Nonesuch Press in 1938, the right book is a case binding for the woodcut prints of illustrations.
The design binding is sewn on an accordion guard of Kozo paper with secondary sewing linen board attachment. This is a full leather binding with leather and hand-dyed Japanese Gampi paper onlays.
The head is coloured with acrylic ink. Endpapers are hand drawn lines, using a Rotring pen and coloured with pastels. It bound with Dark Brown Oasis and Nigeria Goat Skins used for onlays.

The pages for the case binding are made with archival manila and archival glassine, these hold the wood block  prints. This book is sewn using a saddle stitching. Covered in Dark Brown suede with leather onlays.


デザイナー・ブックバインダーとしての主な仕事は、展覧会などで作品発表を行うことと、依頼を受けて本を製本することです。英国のDesigner Bookbindersの正会員、準正会員は、理解あるコレクターに恵まれており、あまり制約なく自由に制作をすることができます。

上の写真は、英国在住の依頼主に最近納品したCommission(注文作品)です。
依頼主(デザイン製本のコレクター)の中には、間にディーラーが入って本人と直接の接触がない場合もありますが、ほとんどのコレクターとは面識があり、展覧会のオープニングなどで会って話をしたりします。コレクターの方々は個性的な方が多く、これに関してはまたいつか別の機会に話をいたします。上記の本の依頼者は、世代が同じということもありますが、気さくな人柄でとても話やすい方です。
この依頼主はロンドンの中心地にオフィスを構えておられ、私はいつも作品をそこに届けに行きます。
そこは、私の通常生活する空間とは全く異なる、バリバリのビジネスオフィスなのですが、部屋の片隅にはなんとも親しみを感じさせる古くさい本が山積みになっており、そこで、私の最も楽しみにしている時間を過ごすことがでるのです。つまり、無事作品を納品した後に、次に制作する本をその山積みの本の中から選んで持ち帰るのです。それらの本は、注文制作をする為に購入された本なので、本当に素敵な本が揃っています。

今回制作した本は、1937年にナンサッチ・プレスから出版された「ソーントン編『ヴェルギリウスの牧歌』の為のウィリアム・ブレイクの木口木版画」で、わずか4折の本なのですが、出版当時に特別に印刷された版画ページのプリントが十数枚付いていたので、そのプリントを保管する為の本も作りました。



The art work for the endpapers for the design binding



まず、本の見返しは全部手書きです。最初にロットリンングペンを使って線描をした後、パステルで色を付けて行きました。最初はなしの実だけに色をつける予定だったのですが、なんだか中途半端な感じになったので、葉の方にも色をいれました。



Onlay, work in progress



これは、作業の途中の時の写真です。このように本を包む革に装飾用の薄い革をのせていくことをこちらではオンレイ(onlay)と言っています。オンレイには、いろいろ方法があり、装飾の部分に厚みのあるものもありますが、これは表面が平になるように作りました。




Reverse of the leather, prior to covering


これは、上記の革の裏側の写真です。オンレイの部分の厚みなくす為に、その部分を削った様子がおわかりいただけると思います。



The completed Design Binding


最終的には、このように仕上がりました。




Endpapers on the case binding


これは、プリントを保管する為の本の見返しの写真です。これは、手書きの線描をオフセット印刷したものです。本の各ページは袋状になっています。プリントの出し入れがしやすく見た目もすっきりとしたものにしようといくつか試作を作りました。材料は、アーカイヴァル・マニラと呼ばれている中性紙の台紙、同じく中性のグラシン紙、厚めの楮紙、Zerkall紙を使いました。




The completed the case binding


表紙は、スエードにオンレイをしてあります。こちらの方のオンレイは装飾の部分に厚みがある仕上がりになっています。装飾を本の下の方にレイアウトして、前述の本の装飾と対照的にしました。


2012/09/22

Workshops at V&A




 V&A, Exhibition Road Entrance



The 21st of September 2012, “The Bookbinders Collective” had workshops at Victoria and Albert Museum in London.
“The Bookbinders Collective” is a group of professional bookbinders that I belong to.


 There were three different workshops and two demonstrations at the Art Studio & Lunchroom 1, Sackler Centre in V&A. We also displayed our work in the Art Studio.
 Fortunately, a lot of people visited and joined our event. We hoped all visitors had an enjoyable time with us.
I would like to say thank you to Marisa, Hannah, and Kate for organized this event and thank you to Tatiana, Heain,Heather and other staffs of the museum for all support. 




冒頭、いきなり英語ではじまりましたが、9月21日(金)にヴィクトリア&アルバート美術館でロンドン・デザインフェスティバルの催しの一環として製本のワークショップがありました。
これは、「ブックバインダーズ・コレクティブ」(以後BCに省略)というグループと美術館の主催によるもので、美術館のアートスタジオとランチルーム1の2部屋を使い、複数のワークショップとデモンストレーションが行われました。BCから4人がインストラクター3人がアシスタントとして参加し、私は和綴じの指導を担当しました。

一応平日とはいえ金曜日だからでしょうか、かなりの人で用意された席はいつもいっぱいでした。
数十名の学生を相手にしていたのは遠い昔のこと、最近はと個人指導ばかりだったので、多くの人の対応に四苦八苦、時間もあっという間に過ぎてしまいました。参加者の皆さんは結構楽しんでおられたようで、美術館の方も盛況なワークショップに喜んでおられたので一安心。美術館のスタッフの皆さん、アシスタントの方々にも随分動いていただきましたが、参加してくださった日本人の方々が終了時にお片づけを手伝ってくださいました。こういう日本的な気遣いがなんだか懐かしくとても嬉しかったです。


 Art Studio, Sackler Centre, V&A

    朝、美術館のアートスタジオに行くと、このように材料や用具が準備されていました。 



Lunch Room 1, Sackler Centre, V&A 

こちらはランチルーム。ここで和綴じとコオンセルティーナのワークショップがありました。


Single Section Binding Workshop with Jo Bird

これは、ゴム版を使って参加者が柄の表紙を作り、それを使ってノートを作る楽しいワークショッップです。

Everyone enjoy making Single Section Book.

皆さん随分凝ったデザインをされていました。


Kate Holland demonstration of Concertina Binding

コンセルティーナ(折り本)のデモンストレーションをしているケイト。

Audience of Mark Cockram demonstration 

マークのデモンストレーションはいつも人集りで、ビデオで撮影している人もいました。

Midori Kunikata-Cockram demonstration for Japanese Binding Workshop

大和綴じの綴じ方の説明をしているところです。 

Japanese Binding Workshop [ Yotsume-toji and Yamato-toji ] .Book size 150 x 110 mm


写真は、ワーックショップのデモンストレーションで作ったものです。四つ目綴じと大和綴じ。本のサイズは150 x 110 mm。材料は、V&Aで用意してもらいましたが、素敵な和紙が準備されていました。




















2012/08/06

London Olympic 2012




                                   Earls Court Exhibition Centre  3.8.2012



今回は、スタジオにも、製本にも全く関係ない話ですが、なにせこの次期のロンドンということで.....。
オリンピックは2週目に入りました。各会場で空席は目立つものの競技はスムーズに進行しており、特にこの数日でイギリスは一挙にメダル獲得数を上げ盛り上っています。
オリンピック期間中は、市内での混雑が予想されるということで、私はどこへも行かずにゆっくりとテレビやネットで観戦をしようと思っていたのですが、せっかくロンドンに住んでいるに何も見ないのも哀しいと思い、オープニングの1週間前に遅まきながらチケットを購入しました。

27日のオープニングの日は、その日の朝になってから聖火を運ぶ船がBarnesの近くを通ると知り、慌ててカメラを持ってBarnes Bridgeまで駆けつけました。ちょうど雨が降り始めたのですが、非常に運の良い事に、私が到着して1分もしないうちに聖火を運ぶ”Gloriana”が現れました。お天気が悪いぶん、華やかな船の金色や黄色の旗が鮮やかに映えてとてもきれいでした。

      Barnes Bridge 27.7.2012

      Gloriana 27.7.2012


夕方は、近所の友人宅でホーム・パーティがあり、皆でオープニング・セレモ−を見ました。集まったメンバーは私以外は全員イギリス人で、かなりこのセレモニーに満足しておられるようでした。イギリス人だからこそ解る、楽しめる、というようなところもあったように思いますが、全体的に豪華でユーモアあふれる構成だったのではないかと思います。私は特に聖火が若い世代の人達によって点火されたことと、参加国を代表する聖火台のコンセプトは素晴らしいと思いました。

さて、手に入れたチケットは、女子バレーボールで2試合見ることができるもので、第一試合はブラジル対中国戦で、第二試合が日本対ロシア戦、会場はEarls Courtにあるエキジビション・センターです。
出入り口が二カ所に設定されており、トップにある写真は、地下鉄Earls Court駅前の出口専用の方です。入り口は、会場をぐるりと回ったOld Brompton Roadに面した方で、入場者は空港でおこなわれるのと同じようなセキュリティチェックがあります。私の友人はベルトの金具で警報が鳴ってしまい、チェックされていました。

      Security check at Earls Court Exhibition Centre 3.8.2012

オリンピックを見にいくのも、バレーボールの試合を見に行くのも生まれてはじめての事でしたが、テレビで見るのとはかなり違うということを実感してきました。
日本の応援にいらした多くの方々が浴衣姿で、袴姿の男性の方も居られました。
主役の選手や得点を追うのは、テレビやネットのビデオの方が良いかもしれませんが、会場に行ったことで、脇で試合を盛り上チアガールや床ふきの若者達の存在を強く感じました。あれは、かなりの重労働です。

      Field of play at Earls Court Exhibition Centre 3.8.2012
      Cheer Girls 3.8.2012

日本は残念ながらロシアのアタックとブロックにはばまれ、1セットしか取る事ができませんでしたが、どのセットも僅差の健闘。日本チームの皆さん、お疲れさま、良い試合を見せていただいて、ありがとうございました。

      Japanese Volleyball Team 3.8.2012

ところで、会場の係員がとても親切で、感じが良いのと、誘導がなかなか上手だったので感心してしまいました。このようなことは、オリンピック期間中だけでなく、今後も続いていくと嬉しいのですが……..